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神子畑選鉱場跡|廃墟ノスタルジックな日本産業遺産【兵庫観光スポット】

かつては東洋一の選鉱場として栄華を極めたものも、時流に抗うことは叶わずその役割を終える。しかし30年以上の時を経た現在もその跡地へと人々が訪れる。そんな廃墟ノスタルジーが神子畑選鉱場跡です。

神子畑選鉱場跡

兵庫県朝来市、山間部にある市街地エリアから国道429号で神子畑川の上流へ。すると次第に歴史の欠片が現れ始めます。その1つが鉱石の運搬道として架けられた神子畑鋳鉄橋。国指定文化財であり近代化産業遺産、実際に渡ることも可能です。

 

さらにトンネル跡、従業員達の住居跡などがあり、巨大な円形構造物が見えてきます。ここが神子畑選鉱場の跡地です。

神子畑選鉱場の歴史と役割

選鉱場と聞いてもピンとこない人も多いはず。現在の日本では馴染みのない存在です。ここで何が行われていたのかをその歴史とともに簡単に説明します。

 

元々ここは銀や銅の鉱山でした。しかし採掘量の低下により大正6年に閉山。その同時期に約6km離れた明延鉱山では金・銀・銅・鉛・錫などの採掘量が増加します。そこで明延から運ばれた鉱石を各金属ごとに選別する「神子畑選鉱場」として生まれ変わったのが大正8年のこと。

 

昭和初期には東洋一と称される規模まで拡大し、当時は24時間フル稼働、選鉱技術も含めて海外からも高い評価を受けていたそうです。ところが昭和後期に入ると円高の影響で競争力は失われていき、昭和62年に明延鉱山とともにその役割を終えました。

神子畑で選鉱する必要性

なぜ明延鉱山から6kmも離れた神子畑に選鉱場を建てたのか?鉱山のそばで選鉱したほうが効率が良いように思えますが、その理由は「地形・雇用・輸送」の3つ。

地形

まず選鉱を行うために必要だったのが山の斜面と工場を建てる平地。これは鉱石を上から下へと落としていく選別方法に由来します。明延鉱山周辺は平地の条件を満たせず、神子畑は適合した。とはいえ神子畑の平地もかなり狭いのですけどね。

雇用

大正6年まで神子畑の鉱山で働いていた人達の行く先は?その雇用を守る上でも神子畑に工場ができるのは好都合でした。

輸送

選別した後の鉱石は全国の製錬所へと運ばれます。例えば銅は香川県の直島、亜鉛は秋田へ。その際に利用するのは鉄道。明延からトンネルを掘る必要があったものの、駅までの距離を考慮すると神子畑のほうが輸送効率に優れていたのです。

 

というところで前置きは終了。いざ産業遺産へ!

インクライン

鉱石を上から下に落としながら選別するには工場を斜面に建てる必要があります。その基礎だけが残る跡地がこちら。

 

選鉱の第一段階は鉱石を上まで運ぶこと。そのために利用したのがインクライン(ケーブルカー)です。残された線路を見るとかなりの急斜面なのがわかります。

 

上に運ばれた1つ15cmほどの鉱石は砕かれては下へ、潰されては下へ、水と混ぜられては下へ、などの工程を各階層で行い、徐々に鉱物を選り分けていきます。そんな作業を24時間体制で行う大規模工場がかつてここに!

ムーセ旧居

とはいえ斜面を見ただけでは当時の様子がいまいち想像つきません。そこでかつてフランス人技師たちの宿舎であったムーセ旧居へ。

 

ここでは神子畑選鉱場が稼働していたときの模型や写真が展示されています。

1円電車

明延鉱山から神子畑選鉱場まで鉱石を運ぶために造られた鉱山鉄道で、関係者用の客車を連結したものが展示されています。運賃が1円だったため1円電車と呼ばれるようになりました。

 

実際に乗車することもできますが、高さがなくて非常に狭い。にも関わらず定員は17名となっていたそうです。

 

1円電車の詳細は看板にも記載されています。運賃は50銭から始まり、昭和27年に1円に改定、昭和62年の閉山まで1円を維持していました。昭和50年頃には新聞に掲載され一躍有名に。

 

1円電車の秘話

ここからはこの看板には記されていない話です。マスコミによって話題となった当時の1円電車は関係者だけではなく一般人も乗車可能としていました。そのため多くの観光客が押し寄せたのですが、1円電車の運賃は全員1円ではなかったのです。

 

正しくは従業員は無料、その家族が1円、一般人は10円。それを知らずに訪れた観光客の中には怒り出す人や、紙幣を出してお釣りを求める嫌がらせをする人も。そういった経緯で乗車禁止の措置も取られたそうです。カスハラ、ダメ、絶対!

シックナー

神子畑選鉱場のシンボル的な存在、それが巨大な円形構造物であるシックナーです。

 

上部は巨大な水槽となっており、ゆっくりと回転させることによって鉱石・水分・薬品を分離して回収する装置です。内部には入れないため、どこがどうなっているのかわかりにくいのは少し残念。

 

水分を蒸発させ不要物は下に落ちて貯まる構造らしいのですが、うーん、遠目で見てもわからないですね。

 

この選鉱場の仕組みについては現地の案内板でより詳細に知ることができます。難しいことはわかなくてもすごいものがあったんだなーと実感できると思います。

交流館 神選

管理事務所・展示室・売店・休憩所を兼ねた建物が交流館です。ここで販売されているオリジナルグッズの主役はもちろんシックナー!

 

中でもTシャツは数種類のデザイン、かなり豊富な色、厚めの生地、それでいて1枚2100円という安価。思わず2枚購入した人がここにいます。

 

実は神子畑に選鉱場ができた理由や1円電車の秘話もここで伺った話。管理人さんはすごく親切で交流館に寄らずして帰るのはもったいない!廃墟だけではなく生きた面白さも神子畑選鉱場跡にはあるのです。

神子畑選鉱場跡

所在地

兵庫県朝来市佐嚢1842番地1

営業時間

10:00~17:00

休館日

水曜・年末年始

所要時間

 

入場料

無料 

駐車場

無料
公式URL https://mikobata.com
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