越前生そば ながと｜軽快クリスピーな醤油カツ丼とおろしそば【福井・鯖江グルメ】

福井県ではいつも病を患います。食べずには越前国から出られないおろし蕎麦の病です。福井グルメは蕎麦しかないと言っているわけでは決してありません、決して。他にはソースカツ丼とか、ボルガライスとか、越前おろしそばとか。

はっ、やはりこれは病です。蕎麦以外の選択肢がないのではなく、越前の蕎麦には食欲と探究心をくすぐる魔力があるのです。今まで最も多く食べた福井グルメはもちろん越前おろし蕎麦。今回はいつもとは違うパターンで探求してみました。

場所は鯖江市、戦術は「蕎麦を尋ねて観光案内所」です。ネット経由の情報に依存していた昨今から脱却し、初対面の人に求めた紹介の中に『地元の人の利用が多い』という気になるワードが。それ、頂戴いたします！

越前生そば ながと

観光客ばかりの店だからダメ、地元客が多ければ良い店、という固定観念は持ち合わせておりません。単に、郷に入っては郷に従うスタイルで何か発見があるかもしれない。という期待で選んでみました。

案内をもとに訪れたのが国道8号線沿いにある「ながとそば」、なんだか立派で歴史もありそうな店構えに見えませんか？

昼のピークを越えて一段落したであろう13時過ぎ。駐車場にある数台の車は自分以外全て福井ナンバー。案内所での情報と照らし合わせても『地元率が高いお店』で相違なさそうです。

単品のそばだけでも温冷それぞれ10種類ずつ、そこに丼物と定食も加わって結構豊富なラインナップ。

丼ものには全てミニおろしそば付き。となると蕎麦だけじゃないほうがいいかもなーと揺れ動く食指。

福井はソースカツ丼が名物なのは存じております。なのになぜ醤油カツを選んだのか？醤油カツ丼だって大野市発の福井グルメ。より珍しい方に心がなびいてしまったのです。

直径の大きなカツ丼、お吸い物、そしてミニでもハーフくらいあるおろし蕎麦。これはなかなかのボリュームセット。

まずは蕎麦からいただきます！薬味はネギ、海苔、かつお節に大根おろし。そばの太さは標準～やや細い程度。

んーこれはなんと言うか…、他の越前おろしそばと比較して特徴が平均的と言うか、香りも食感も辛さも特筆すべきことがない。端的に言うと普通な美味しさで記憶に残りません。一番記事にしづらいタイプだ…。

本来であればここで蕎麦を食べた話はお蔵入りにするところです。なのになぜ記事にしているのか？

お察しが良いようで。

お蔵入りを覆して主役に輝いたのはカツ丼のほうだったのです！ご飯の上にはキャベツではなく水菜、ほぼ一面を埋めるワイドなトンカツ、刻み海苔と大根おろし。

ここに単なる醤油ではなく付属の醤油ダレをかけまわして、召し上がれ！

やや甘めの醤油からはワサビの辛味と香り。隠し味だという梅はほんのり酸っぱい？風味はワサビが圧勝していて梅は隅に追いやられています。そんな醤油ダレはカツとの相性良し。当然ながらソースカツ丼よりもスッキリした味わいです。

ただそれよりも注目すべきはトンカツです。いやこれはトンカツというよりクリスピーポークと呼ぶべきか。

肉の厚さは1cmほど。これを包む衣はカリッとザクザク。まさにクリスピーな食感で『えっ』となります。今まで食べた福井のソースカツや新潟のタレカツと比べてもより一層軽い食感なのです。

一般的に美味しいトンカツといえば肉厚ジューシーを思い浮かべると思います。これはその概念とはまるで合致していません。肉はご覧のとおり薄め、肉汁も滴りません。それでいて美味しいのです！

それは衣の存在も大きいと思います。細かいパン粉を使って絶妙な歯ざわりと歯切れの良さに仕上がった衣はそれだけでも美味しい。だからこそこの肉の厚さがマッチします。ジューシーさなんて忘れてとにかく『軽さ』の虜になるのです。

このカツならばソースカツ丼にも合うと思いますし、そちらも食べてみたい。越前おろしそばの病が転じて醤油カツ丼。思わぬ形となりましたが、期待していた発見につながったのでオールOK！