沈下橋とは、河川の増水時に水の中に沈むことを前提に作られている簡素な橋のこと。地域によっては潜水橋とも呼ばれますが、最大の特徴は欄干がない!あったとしても簡素なものになっています。
増水時に川から受ける抵抗を抑えることで流されにくくする。もし流されたとしても低コストで復旧できる。これが沈下橋の狙いなのです。
そんな沈下橋の魅力を伝えるために、行くぞ高知県!仁淀川に架かる沈下橋を巡る旅に!今回は沈下橋ファン拡大を目的とした情熱大陸のような内容となっております。
仁淀川の沈下橋ツアー
今回の舞台は仁淀ブルーで有名な仁淀川。事前調査によるとここに架かる現役の沈下橋は全部で7つ。国道33号、県道18号、国道194号と仁淀川沿いを上流から下流へと移動していくルートで全橋制覇を目論みます。すべて初見の橋なのでオラワクワクすっぞ!
大森沈下橋
記念すべき一本目は仁淀川町の大森沈下橋。深い渓谷に降りていくと現れます。
欄干のないつるんとした佇まいは沈下橋の説明で記述したとおり。
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向こうから車が来たら?もちろんすれ違いなんて出来ないので交互通行です。沈下橋の道幅は狭いのが基本、車がすれ違える規模の沈下橋は見たことがありません。
ここの橋桁は上流側の縁だけ金属でコーティングされています。これは増水時の流木などで破損しないための補強のようですね。
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反対側には力強く咲く一輪の花。そして欄干らしきものがあったような形跡が。おそらく手すり程度のものがあって、破損してそのまま撤去という状況ではと推測いたしました。
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橋から見える景色はいかにも川の上流らしいV字谷。この険しい侵食が増水時の激しい流れを物語っており、そこで沈下橋の出番なのですよ。
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継合沈下橋
大森沈下橋から約50mとすぐ隣に架かる継合沈下橋。正確には長者川に架かる橋ですが、ほぼ仁淀川との合流地点なので今回のツアーにエントリーとなりました。
ここは大森よりも全長が短く、幅もひと回り狭い構造です。
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車が落ちそうになるその前に、タイヤが乗り上げたと気付けるように、心ばかりの突起が縁につけられています。
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規模は小さいけれど景色との融合が良い!橋の上で涅槃像の真似をしたくなるような、そんな味のある沈下橋ということで大森沈下橋より好きです。
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久喜沈下橋
第三使徒は7kmほど下流に進んだところにある久喜沈下橋。先に言ってしまいますが、過去最高の沈下橋がここで登場です。
一見すると景色に溶け込んでいる久喜沈下橋。おわかりになりますか?
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この岩場に架かった橋が久喜沈下橋です。道幅が細いっ!
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今までの沈下橋とは味わいが段違いの久喜沈下橋が造られたのは昭和10年(1935年)、なんと高知県に現存する最古の沈下橋!そして国指定登録有形文化財なのです。
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道幅は推定で180cm程度。轍もありますし、車で渡れないこともないのですが、かなりリスキーなのは言うまでもなく。
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橋桁から脱輪しないように縁には段差が…なんて甘えは通用しません。綺麗につるんとしています。
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さらに何が厄介かって、渡り終えた後のカーブで突き出ている岩ですよ。これが道幅を狭めているために内輪差でガリガリ…なんて恐れも。
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もうこれだけでもテンションの上がる沈下橋なのですが、より詳細に見ていくと構造の凄さがわかります。橋桁が直線形とアーチ形のハイブリッドですと!?
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そして直線とアーチを結ぶ橋脚は岩盤を丸ごとコンクリートで包み込むことによって脚となっているのです。
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岩盤をそのまま利用しているから一部は上に突き出ていますし…。こんな橋は見たことがない!
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コンクリートアーチも美しい。けど車が通るわりには中央部は結構薄いな…。なんて造形にも思いを寄せられる最高の沈下橋だとは思いませんか?
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中仁淀橋
一気に12km下流へ進み、越知町の中心部付近に架かる中仁淀橋が第四の沈下橋です。
中仁淀橋は今までとは打って変わって規模が大きい!
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車道と歩道が分離しており、歩道側には落下防止の柵まで設置されています。歩車分離式に出会ったのはこれが初です。
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規模が大きいだけあって交通量も多く、大型の工事車両でも悠々と走れる立派な沈下橋。
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さすがに車同士のすれ違いは厳しいですが、車とバイクなら速度を落とさずにすれ違って行きました。
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川幅が広く、普段は流れが穏やか。水の透明度も高くてしばらく眺めていたくなる景色が中仁淀橋にはありました。うん、いいね!
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浅尾沈下橋
第5の使徒はさらに5kmほど下流に進んで同じ越知町にある浅尾沈下橋。
中仁淀橋と比べて全長は半分程度。工事の影響か水流の音がうるさく、落ち着けない雰囲気となっているのが残念。
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この場所は数々の映画のワンシーンとなっているらしく、竜とそばかすの姫にも登場したのだとか。
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確かに周りの景色は渓谷で綺麗。ただ沈下橋としてはなんとも平凡と言いますか、コメントが難しい。特別テンションも上がりません。
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浅尾沈下橋には橋自体を展望するスポットがあるという情報を入手。おそらくこの場所で合っていると思いますが、橋より自然が主役な眺望でした。
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片岡沈下橋
浅尾沈下橋から下流に約4km。この旅ももう終わりが近づいてきました。
一見すると浅尾沈下橋と似たような造りに思えます。
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しかしここの特徴は他の沈下橋よりもサイドの段差がかなり高くなっている安心設計。
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道幅もそこそこ広いのでこれで落ちるような人は即座に免許返納レベルです。
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安心な沈下橋すぎて逆に物足りなく感じてしまう。けれどこの川の景色はボーッと見ていられる美しさ。
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名越屋沈下橋
最初の大森沈下橋をスタートして約35km。いの町と日高村を股にかける全長191mは仁淀川で最長の沈下橋。最後を飾るのは名越屋沈下橋です!
さすが最長だけあって対岸が遠い!増水時にはこれが全部沈むというのだから恐ろしいものです。
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この橋の特徴は、バルコニーのように突出した部分が数カ所ある点。
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これは何のための場所なのか?そう、ここから釣り糸を垂らせば…
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多分怒られます。歩行者や自転車が自動車を避けるための退避場所なのですよ。
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退避のために部分的に道幅が広くなっている沈下橋もありますが、川の上まで突き出ているのは初めて。しかも数か所設置しているとは、さすが最長だけあって抜かりありませんね。
そんな名越屋沈下橋からの景色もまた良い。退避スペースに座って物思いに耽りたくなる長閑さでこれもまた魅力的なのです。
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以上で7つ全てを巡り終えました。ひとえに沈下橋と言っても色々個性があるとおわかりいただけたでしょう?写真じゃなくて動画で見たかった?そう言われると思ってご用意いたしました。
動画
沈下橋は日本各地に現存しているそうで、特に中国と四国地方に多く、中でも高知県にはかなりの数が残っています。最も有名で観光客が多く訪れるのは佐田沈下橋でしょう。
佐田沈下橋|落ちるな危険!四万十の清流と融合する映える橋【高知観光スポット】
今回は沈下橋という変わった橋についてのお話です。まずは沈下橋とは何かについての説明をご覧ください。 沈下橋とは? 土木用語では潜水橋と呼ばれるもので、河川の増水時に橋が水の中に沈む・潜ることを前提に作られている橋です。 特徴としては橋に欄干がない(あってもかなり低い)!理由は沈下時の水の抵抗を減らして橋が流されないようにするため。また、流されても作り直しやすいようにという狙いです。高知県以外にも全国(主に西日本?)に点在していますよ。
車で渡る難易度で言えば久喜沈下橋よりも際どいものもあります。是非みなさんも各地で色々な沈下橋を体験してみてください。沈むどころか浮かれた気持ちになって楽しめるはずです。
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